「御社の新規事業はなぜ失敗するのか」田所雅之と荒井宏之(Pinky)が熱く語る、失敗しない組織戦略とは

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『御社の新規事業はなぜ失敗するのか』などの著書を持つ田所 雅之氏と、成熟事業を持つ大企業に向けて「出島戦略」を用いた新規事業の戦略策定・立案・導入を行う”Pinky” 荒井 宏之氏が「成熟事業をもつ企業ではなぜ新規事業がうまくいかないのか」という問いに応えます。

成熟事業を持つ大企業で数々のイノベーション創出の支援を行ってきた両者が自らの経験をもとに生み出した、新規事業と既存事業を両利きで経営する「出島戦略」と事業のレベルに応じてイノベーションを推進する「3階建て組織戦略」を解説します。

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■話者
田所 雅之 / ユニコーンファーム 代表取締役社長
これまで日本で4社、シリコンバレーで1社起業をした連続起業家。2014年から2017年までシリコンバレーのVCのパートナーとしてグローバルの投資を行う。2017年発売以降115週連続でAmazon経営書売上1位になった「起業の科学 スタートアップサイエンス」(日経BP)、及び「御社の新規事業はなぜ失敗するのか? 企業発イノベーションの科学」(光文社) 、「起業大全」(ダイヤモンド社)の著者。現在は、スタートアップ経営や大企業のイノベーションを支援するユニコーンファーム 代表取締役社長を務める。

“Pinky” 荒井 宏之 / キュレーションズ株式会社 プリンシパル(主席コンサルタント)
新規事業の何でも屋。スタートアップ複数社にてWeb、O2O、IPライツ、コンテンツ、食品、健康食品、化粧品、ファッションなどの事業立ち上げを経験した後、成熟事業を持つ大手企業に対して外部パートナーとして、新規事業領域の戦略策定、研修・セミナーの企画・運営、事業創造プログラムの企画・運営、ビジネスデザインなどを通じて、成熟事業のデジタルを活用したビジネス・トランスフォーメーションの実現に注力。チガサキベンチャーズ合同会社/共同代表パートナー、シードアップへのエンジェル投資/顧問/社外取締役、情報経営イノベーション専門職大学/客員教授

■目次

  1. 新規事業と成熟事業の「ハレーション」はなぜ起きるのか
  2. 心理的安全性を高めて新規事業に集中させる「出島組織戦略」
  3. 事業レベルに応じてイノベーションを構造化する「3階建て組織戦略」
  4. 【事例】KDDI株式会社のオープンイノベーションはなぜ成功したのか
  5. 【無料DL可能】イノベーションを成功させる『出島戦略 実態と手法』解説書

1.新規事業と成熟事業の「ハレーション」はなぜ起きるのか

理想の企業経営は、成熟した既存事業と新規事業のバランスが取れており、新しい価値を生み出すサイクルが築けている状態です。「両利きの経営」と呼ばれているこの状態はどのようにして実現できるのでしょうか。

企業の成長はインベンション(発明)による新しい事業の創出からはじまります。次にイノベーション(革新)によって世の中に新しい事業が広まっていき、オペレーション(運営)でその事業を標準化します。オペレーションは改善によって磨かれていきますが、その先のタイミングでディスラプション(衰退)が起きることで、プロダクトライフサイクルは終わりを告げます。

企業の成長サイクルを維持するためには、それよりも前に新たなインベンション→イノベーションを自ら起こすことが必要で、それによって持続可能な経営を実現できます。既存事業のアセットを活用し、新しい事業機会を探索し、事業化のために深化することで、新たなイノベーションに繋げることができるわけですが、キュレーションズの荒井氏は、両利きの経営の現実についてこう述べています。

“両利き経営の現実は難しく、意図せず「両天秤の経営」になってしまいがちです。既存事業は短期的に成果が出やすいため、組織全体がどうしても既存のオペレーションに偏ってしまいます。こうした状況が新規事業の探索の機会を奪うため、新規事業を担当している部署と既存事業を担当している部署に分断やハレーションが起こります。(荒井宏之 “Pinky”)”

既存事業と新規事業では、仕事の進め方やマネジメントの仕方が大きく異なります。既存事業は問いに対する方程式とそれを解くための一連の活動が型化されています。求められる人材は出来上がっている方程式をより素早く効率的に解けるスキルを持った人材です。

一方で、新規事業では問いの設定から始まり、それを解くための方程式を模索しなければなりません。求められる人材は、不確実性の高い環境下でより精度の高い問いをトライアンドエラーで探索できる人材です。

既存事業と新規事業のちがい

組織内でハレーションを起こさないためには、こうした事業上の性質のちがいに着目したマネジメントスタイルが必要です。荒井氏は、両利きの経営を実現するためにはミドルレイヤー(中間管理職)の意識改革が重要だと語ります。

“新規事業で一番難しいのがコーポレートフィットです。この会社でこの事業をなぜやるべきなのか?この会社でやるべき事業は何か?というメッセージを考えるのが難しくなってるときに、ミドルマネジメント(中間管理職)の方たちの役割はとても重要です。(荒井宏之 “Pinky”)”


“Pinky” 荒井 宏之 キュレーションズ株式会社/プリンシパル(主席コンサルタント)

中間管理職の人材は経営者と新規事業担当者の橋渡しができる重要な役割の一方で「イノベーション対応力」という点でボトルネックになるケースが実はあると言います。

“ミドルマネジメント層は、イノベーションに必要なリーダーシップというところで、過去のロジックで判断せずに、未来の可能性を得るために小さなチャレンジを奨励する必要があります。そのために「心理的安全性の高い環境」を組織にどうやって作っていくか頭を悩ませなければなりません(荒井宏之 “Pinky”)”

2.心理的安全性を高めて新規事業に集中させる「出島組織戦略」

新規事業を持続させるには、組織的に心理的安全性の高い環境を作る必要があります。そのための戦略として荒井氏は、経団連も推奨する「出島戦略」を提案します。

“大企業にはオープンイノベーションの重要性に対する認識が広まりつつあるが、より大胆な体制整備が必要であり、その一環として、会社本体と意思決定評価制度を切り離した異質な組織を「出島」のように立ち上げそこで重要な活動する方策が有効です(荒井宏之 “Pinky”)”

荒井氏が提唱する「出島戦略」とは一体何でしょうか?出島戦略とは、成熟事業をもつ企業内に小さな組織を出島的に用意し、その出島で既存事業のアセットを活用しながら新しい事業を探索し、得た知見を既存の組織・既存の事業に還元して組織改革を促す戦略です。

出島戦略は既存事業と新規事業のハレーションを防ぐのに有効です。破壊的イノベーションが起こりにくい既存の文化・制度・体制から権限、人材、資金、技術、プロセスのみを切り出すことで、新規事業に集中できる環境を社内に構築できるためです。出島では心理的安全性の高い環境下で、既存事業と「中長期のビジョン」の間に生まれたギャップを埋めるための活動を行うことができます。

出島戦略を実行する上で注意しなければならないのが、最終的には、事業の「分断」ではなく「統合」を目指す必要があるという点です。

“出島戦略は、切り出した方でイノベーションを起こせば良いという話ではなく、既存事業のビジネストランスフォーメーションにつなげることが必要です。つまり出島に「入島」の機能を持たせることで、人材、情報、スタートアップとのコラボレーションなど、出島が主体性を持ったオープンイノベーションを実施できるのです。出島で事業が出来上がったら、既存事業化するための水揚げが必要になるのです(荒井宏之 “Pinky”)”

3.事業レベルに応じてイノベーションを構造化する「3階建て組織戦略」

出島戦略を別の見方で捉えることもできます。田所氏は自身の著書『御社の新規事業はなぜ失敗するのか?~企業発イノベーションの科学~』 で組織の構造を段階的に分ける「3階建て組織戦略」を提唱しています。3階建て組織戦略とは、市場の成熟度や成長率に応じて事業レベルを階層化した組織体制です。

1階部分がコアビジネスで収益の柱となります。安定した収益を確保できる既存事業が該当し、P/Lが重視されます。2階は新規事業に取り組む場所で、新規事業のトリガーとなるアイデアを検証します。マーケットシェアを伸ばし売り上げに貢献することが重視されます。

3階がイノベーション部分です。P/Lや売り上げを重視する1階と2階とは異なり、ここでのKPIは他社が持っていないインサイトをいかに得るか、いかにPMFを実現するか、いかに打席に立つ回数を増やすかという点が重視されます。田所氏は各層が持っているミッションと3階の役割を以下のように語っています。

田所 雅之 ユニコーンファーム 代表取締役社長
田所 雅之 ユニコーンファーム 代表取締役社長

“1階部分のミッションはキャッシュフローをまわして「いかに儲けるか」です。2階のミッションはマーケットシェアを獲得して外部で「勝つこと」です。一方で、3階は実証実験をする場所です。「課題を発見して着想を得るところ」から始まり、UXを検証して、プロトタイプを出して、実際にユーザーが使えるかどうかデータ分析をしながら検証します。なので、3階のミッションは「発見すること」なんです(田所 雅之)”

各階層によってミッションやKPI、KGIが異なるため、階層に応じた人事評価や承認制度が必要です。特に3階部分は、他の階層で共通する「仕組み化」や「再編成」などの性質は持ち合わせていません。

このような性質のちがいを踏まえて、3階を「出島」のような組織の位置付けにすることで、他の階層とのバランスを保つことができるのです。田所氏は、ドラッカーの言葉を引用してこの状態を以下のように表現しています。

“ドラッカーの言葉に「イノベーションの仕事を既存の事業と分離して組織しなければならない」という言葉があります。つまり、既存事業と新規事業は混ぜるな危険であるということですね。たとえば、1階から見た3階っていうのは「何か遊んでるんじゃない?」3階から見た1階は「頭の固い人たちにしか見えない」ということです。組織がそうした状況だとハレーションは必然的に起きてしまうのです(田所 雅之)”

4.【事例】KDDI株式会社のオープンイノベーションはなぜ成功したのか

田所氏は3階建て組織の成功事例として、KDDI株式会社のオープンイノベーション事例を紹介しました。同社では、基幹事業のキャリアビジネスを軸に事業を展開しながら、社内でビジコンやハッカソンを実行したり、社外とは事業提携・業務提携を活発的に行ったりしました。最終的にはMAやCVCの立ち上げを実現しています。

キャリアビジネスは安定した収益源の一方で、マーケット全体で見ると価格競争が続いています。その潮流でKDDI社がオープンイノベーションに舵を切ったのは当然の流れに見えますが、同社が「成功事例」と言われているのは、2000年初頭から新しい事業アイデアの探索活動に力をいれはじめ、継続的に深化できたからでしょう。

田所氏はイノベーション施策マップを用いて、KDDI社の取り組みを以下のように分析しています。

“彼らは顧客に提供する体験価値を変えるために、自らのビジョンを変えて、競争から「オープンイノベーション」に舵を切りました。そこでイノベーションの土壌づくりして、SkypeやFacebookと事業提携をしてコラボレーションを加速させました。ファンドに出資をして、最終的にはCVCとして事業共創プラットフォームである「∞ Labo」(ムゲンラボ)を立ち上げました。3階建ての組織に置き換えると、徐々に3階部分を増やしていく戦略を取ったのです(田所 雅之)”

田所氏は、KDDI社が成功した理由について別の視点からも意見を述べました。

“KDDI社の勝因は、イノベーションの探索活動をビジョンを達成するための「手段」としていた点です。もし「他社がM&Aをやっているから自分たちもやる」という思考だったら、手段が目的になっていたらうまくいっていなかったはずです。自社のビジョンである「ライフスタイルをデザインする会社」を、3階建て組織で一貫して伝えていたからこそ、全社的な協力体制を築けたのです(田所 雅之)”

新規事業を成功させるためには、経営者が組織に対して「なぜ新規事業の探索が必要なのか」メッセージで語り、社員の協力の深度を増す必要があります。KDDI社のようにトップが明確なビジョンを発信することで、既存事業と新規事業のハレーションを最小限にした、「両利きの経営」を実現できるということでしょう。

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