新規事業は「出島」を活用しよう-「出島」となるチームが新規事業に導く

顧客の価値観の変化が激しい時代において、企業は既存事業の存続に力を入れるだけでなく、時代に適合した新規事業に取り組む必要性が増してきました。新規事業は取り組んだ結果、いつも成功するわけではありません。成功と失敗を繰り返す中でわずかな事業だけが社会にインパクトを与えるイノベーションを起こすことができます。

この記事では新規事業の失敗要因となりうる「既存事業と新規事業間に生じる対立や葛藤」を紹介すると共に、解決策としての「出島戦略」についてご紹介します。

1.既存事業と新規事業では全てのルールや文化が異なる

まず、新規事業の失敗要因となりうる組織的な課題についてご紹介します。前提として、新規事業と既存事業では活用されるルールやマネジメント手法、チームが異なることを認識しなくてはいけません。

既存事業では、上司からのアドバイスや、顧客の声やデータに基づいて改善を行うことができるなど、予測・計測・管理が可能な業務が多い環境にあります。言い換えると、「答えは誰かが既に知っている」ことが多い「既知の環境」で事業を推進することになります。

一方で、新規事業は既存事業のように上司に相談をしても、顧客の声を聞いても明確な回答は返ってこず、不確実性が高い状態の中で事業を推進することになります。なにより先行事例がないため、既存事業のように確率での予測や計測が困難です。つまり、新規事業に取り組むということは答えのない「未知の領域」へアプローチするということです。誰も答えを知らない「未知の領域」にアプローチする新規事業と既存事業では、必要となる資源やスキルは当然異なります。よって、新規事業に積極的に取り組む企業は、考え方が異なる2つのアプローチを企業内に併存させる必要があるということです。

実際に2つの考え方を併存させながら推進することで生じる最も大きな課題は「既存事業の担当者や制度」と「新規事業に取り組む現場」との間に生じる「組織や制度、人などの対立と葛藤」です。

互いに考え方が異なるため、合意形成がうまくいかず、ミーティングや資料作成が増え、新規事業を推進する際のボトルネックとなり、事業が失敗してしまうことも少なくありません。

この既存事業と新規事業の間に存在するさまざまなギャップや課題を解決する手法として、がこの記事で紹介する「出島戦略」なのです。

2.出島戦略とは、新規事業に挑戦する組織/会社を新規で用意し、活用すること

「出島」とは江戸時代に海外と交易する拠点として設けた場所のことを指します。鎖国政策を採用し、幕府が海外との交易を原則禁じていた中、例外として海外と交易をしてもよいと認められた特区が「出島」でした。当時の日本はこの出島を交易拠点とし、外からの情報や技術、文化を取り入れ、自分たちに適したものを吸収していきました。

また、その際に日本が受け入れ、広く流通すべき技術や情報を選定する、いわば「入島」といえるようなキュレーター的な機能も出島が請け負っていました。

このアプローチをビジネスにおいて採用する戦略、それが「出島戦略」です。ビジネス領域における「出島」とは「本社の意思決定や評価制度などの制約に縛られずにリスクをとって新規事業に挑戦できる組織や会社」を指します。特徴は「本社のルールに縛られず、リスクをとった挑戦ができる点」「新規事業への挑戦に伴う探索活動に特化した文化/制度/体制を備えることができる点」にあります。

本社とは独立した組織や会社を「出島」として設置することで、ベンチャー企業のような文化・制度を構築することができます。これによって、新規事業の現場は次のようなメリットを得ることができます。

・新規事業のテーマに適した情報を外から得やすくなる

・外部人材のプロジェクトへの参画が容易になる

・実証実験の場として活用できる

・技術の用途開発のための探索活動が行いやすくなる

・少数精鋭のチームでリーンな開発(効率的な無駄のない開発)が可能となる

・新規事業に取り組むマネジメントや現場が活動しやすい環境を整備することができる

一方、本社サイドのメリットとしては次のようなものがあります。

・新規事業に関する活動を出島に集約することで、既存事業との対立や葛藤を最小限に留めることができる

・出島会社が探索し、発見した有用な情報や知識、技術を取り込むことで、既存事業へのシナジーを客観的に検討できる

・既存事業や管理体制(コンプラ、ガバナンスなど)による制約が外れ、新規事業の可能性の幅を拡大することが容易になる

・3カ年計画の枠組みから外れ、中長期的なイノベーションに対する投資が可能になる。

・ スタートアップなどの外部企業とのアライアンス

・外部人材との交流

・外部の情報収集が容易となる

既存事業と新規事業を「概念として切り分ける」だけでなく、新規事業に取り組む組織やチームを「物理的に切り離す」ことで、既存事業と新規事業間の対立や葛藤の解消やさまざまなリスクを軽減することができます。

「出島戦略」は新しい情報や技術、ベンチャー文化の形成によって新規事業の成功確度を向上させるだけでなく、本社への選択的な情報や技術の取り込みによって、既存事業と新規事業の担当者、双方がメリットを享受できるWin-Winの施策なのです。

3.出島戦略には明確な目的と戦略が必要

「新規事業に取り組むため、出島会社を作ろう」と安易に採用してはいけません。出島戦略を採用し、組織や会社を新規で設置する際は明確な目的と戦略をもって取り組むことが重要です。

このように出島を採用するに当たって検討すべき項目は多岐に渡りますが、独立した部署や子会社など新規で設置した出島に、本社の制度や環境をそのままに転用することは避けるべきです。

先に述べたとおり、既存事業と新規事業では考え方が大きく異なります。よって、出島会社の制度や環境は、「目的や現場で働く人材に合わせて0から構築する」必要があります。加えて出島会社を作ることが目的になってはいけません。出島戦略はあくまでも新規事業を成功させるために、現場がスムーズに動ける制度や環境を構築することが目的であることを忘れてはいけません。

4 .さあ、出島戦略に取り組もう

今回は既存事業と新規事業の考え方が大きく異なること、そして新規事業成功のために「出島戦略」を活用する必要性についてご紹介しました。

これから新規事業に取り組むのであれば、初めの一歩目は外部を活用して市場でのイノベーションの探索活動としての試行錯誤を行い、スケールアップ・スケールアウトのフェーズには出島会社を設立し、新規事業に取り組む「出島戦略」の採用をご検討ください。

また、既に取り組まれている方も、この記事を読んだことを機に、本社側と新規事業のチームの間で対立や葛藤、課題がないかぜひ点検してみてはいかがでしょうか。既存事業と新規事業の考え方は異なることを意識し、課題解決に臨むことで、きっと新規事業への挑戦はスムーズなものとなり、既存事業と新規事業の間に生じる対立や葛藤を未然に防ぐことができるはずです。

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