成長する新規事業のエッセンス -コンセプトメイキング方法

取り組む新規事業の領域が明らかになり、解決したい顧客の課題も発見し、新規事業を担当するチームも集めた。いよいよ新規事業を具体的に作り出そう。その最初の一歩目に重要なものがビジネスの「コンセプト」です。この記事では新規事業の方向性を決定づける2つの思考法とともに、事業を実現に導くコンセプトの作り方をご紹介します。

1.2つの思考法 – フォアキャスティング、バックキャスティング-

最初に新規事業の方向性を決定づける思考法について3つのSTEPに分けて紹介します。

1-1.フォアキャスティングとバックキャスティング思考の違いを認識する

ビジネスの方向性を決定づける2つの考え方があります。それは「フォアキャスティング」と「バックキャスティング」です。「フォアキャスティング」とは過去のこれまでの経緯と現在の立ち位置を起点に、物事を考える思考法です。ビジネスにおいては、自社の抱えるアセットや現在の顧客が持つニーズから新規事業を構想することを意味します。

 一方で、「バックキャスティング」とは未来のあるべき姿から物事を考える思考法です。ビジネスにおいては、現状や過去を条件には一切設定せず、遠い未来を想像し、そこに到達するために何が必要か逆算してシナリオを考えることを意味します。

1-2.最初は「バックキャスティング」で考える

この2つの思考法のうち、大企業が新規事業に取り組む際には「バックキャスティング」から発想していくことが好ましいと私たちは考えています。

日常的な仕事に用いる思考はほぼフォアキャスティングになっています。自社との関連性があるかどうか、社内外に前例があるか、成長を見込める市場があるか、既存事業の業務では過去の延長戦上で未来を予測、想像することに慣れてしまっています。当然、既存事業の延長線上での漸進的イノベーションも欠かすことはできませんので、それは引き続き実施していくべきです。

一方、持続的な経営のために、組織や事業をアップデートしていくことが新規事業の役目だとした場合に、事業を構想する初期段階では、さまざまな制約を脇に置いて考えるためにバックキャスティングで物事を考えるべきなのです。

1-3.バックキャスティングした後、フォアキャスティング思考に切り替える

単純にバックキャスティングで未来を想像するだけでは妄想に止まってしまい、実際に事業を構築する際には役には立ちません。そこで、バックキャスティングで未来を想像した後に、フォアキャスティングでビジネスをどう実現進めていくか、現状のアセットやリソースから考えていくことが新規事業には求められます。バックキャスティングで未来を想像し、フォアキャスティングで実現方法を模索し事業を構築していく。新規事業ではこの2つの思考法をうまく使い分けることが重要です。

それだけでなく、バックキャスティングからフォアキャスティングに切り替えるべきタイミングが必要となってきます。この2つを繋ぐ方法、それが「コンセプトメイキング」です

2.コンセプトメイキングで妄想を構想に変える

「コンセプトメイキング」はバックキャスティングで未来を想像した後に、フォアキャスティングに切り替え具体的な事業構想に繋げるアプローチとして、最適な手法です。

「コンセプトメイキング」で作るビジネスのコンセプトは、3つの要素から構成されます。それはTheme(テーマ)、Concept(コンセプト)、Object(オブジェクト)の3つです。この3つの要素を東京ディズニーシーを事例に紹介します。

Themeとは主題や目的のことを意味します。Themeは発想法を用いたワークショップなどを用いてアイデアを発散させることで創出します。Themeは端的に表現することが好ましいため、1文程度の長さで言葉にします。

次に紹介するConceptは「特定の物事に対する統一的な考え方や視点」を意味します。Themeに対するソリューション(回答・提案・解決方法)となる概念や切り口を文章で表現します。Themeをより具体的に表現したものがConceptです。

Themeが実現した未来を想像し、文章としては2〜3行程度にまとめます。短すぎず、長すぎない言葉としてまとめることがポイントです。

最後に紹介するObjectとはThemeやConceptを反映した実際のサービスやプロダクトとなります。

例えばこのコンセプトの3つの要素をディズニーシーに当てはめると次のように表現することができます。

東京ディズニーシーのビジネスコンセプト
 ・Theme:「世界に1つだけの海」

 ・Concept:「海にまつわる物語や伝説を題材にした冒険とロマンス、発見と楽しさに溢れる世界」

 ・Object:現実世界にある東京ディズニーシーそのもの。

Conceptで考えた世界観をObjectに反映する過程にはさまざまな課題が存在します。もしかすると自社が現在もつアセット、技術、人材では不足しているかもしれません。

重要なことはConceptで定めた世界観を実現するアセットやリソースが自社に不足していると認識することです実現したい世界観と現実の間のギャップを認識することで、そのギャップを埋めるための行動が特定することができます。。後は補うために行動を起こすのみです。このようにコンセプトメイキングは、バックキャスティングで思考し実現すべき世界観を定めたのち、フォアキャスティングで不足するものを特定し、行動を起こしていく最適な手法なのです。

3.Conceptに必要な2つの観点

Conceptは、ワークショップやミーティングを開き、発想法などを用いてアイデアを出し、文章をまとめれば良いわけではありません。この章では、Conceptを現実のビジネスに確実に繋ぐ際に重要となる2つのポイントについて紹介したいと思います。

1つめのポイントは「市場やビジネスの将来を予測しているか」というものです。今の世の中にどのようなトレンドやムーブメントがあるのかを知り、それらを踏まえて将来どのような未来になるのかを具体的にイメージします。その時、自社ビジネスがどうなっているのかを考えましょう。作ったConceptが社会のトレンドや最先端テクノロジーからかけ離れていては意味がありません。Conceptを作る際は世の中のトレンドやムーヴメントに適したものなのかしっかりと点検しましょう。

2つ目は「共感を生むストーリーが含まれているか」というものです。Conceptを人に説明するとき、「数年後の未来はこうなると考えてるから」と将来予測のデータやロジックだけで説明してはいけません。上司、部下、チームメンバー、新規事業に関わる人を納得に導くConceptには感情を揺さぶられるストーリーとしての要素が必要不可欠です。

どのような世界を目指しているか、あなた自身がどのような動機を持って新規事業に取り組んでいるのか、最後にプロダクトやサービスとしてどのようなものを想定しているのか。これらの内容をConceptに込め、誰かに語る際にストーリーとしての一貫性を持たせることができるようなConceptになっているかは必ずチェックしましょう。

4.ConceptとObjectをUXで繋ぐ

この記事ではバックキャスティングから事業を考える重要性、そしてバックキャスティングで描いた未来をフォアキャスティング思考で実現していく最適な手法としてのコンセプトメイキングについて紹介しました。

Themeを決め、Conceptを作ったら、サービスやプロダクトといったObjectを作る段階に移行します。Objectを作る段階で重要なことがあります。それは「ユーザー体験」を豊かにすることです。

「ユーザー体験」とは「ユーザーとサービス、商品の相互作用全てで、混乱や面倒なしで顧客の的確なニーズを見たし、所有する楽しさ、使用する楽しさを生み出す簡潔さと優雅さ」とこの領域の先駆者であるドナルド・ノーマンは提唱しています。

作ったConceptをObjectに落とし込む時、ユーザーが満足する体験に繋がるものなのか、混乱するような要素が含まれていないかなどを点検しなくてはいけません。

ミーティングやワークショップなどで議論をしながら、ThemeやConceptに落とし込むことも重要ですが、それは机上の空論であり、実際にユーザーが満足するものなのかしっかり点検する必要があります。

ユーザーが満足し(Customer Sutisfaction)、成功し(Customer Success)、そしてハッピーになる(Customer Hapiness)ところまでObjectを昇華させるためには、地道な道を一歩ずつ歩むほかありません。そして、これは困難を伴う作業です。

事業が企画倒れになったり、先に進まない原因のほとんどの場合、目指すべき未来としてのConceptを設定していない、ユーザー体験を意識しないなど、目的を見失った状態でObjectを作り取り組んでしまうことが原因です。これから新しくサービスやプロダクトを作る方はぜひユーザー体験に気をつけながら、開発を進めてみてください。理想のConceptを最適な方法で実現すること、その答えはユーザーが持っています。新規事業を作る際は会議室にこもってConceptを練るだけでなく、実際にユーザーに会いにいき、彼らの声を聞いてみてはいかがでしょうか。きっとサービス/プロダクト作りのヒントをたくさん得ることができるはずです。

5.ビジネスモデル変革ならCurationsへ

Curationsサイト キャプチャ

Curations株式会社は新規事業開発に特化したスペシャリスト集団です。顧客の声を聞き、自社のアセットを活用することで、革新的ビジネスモデルの創出と企業のビジネスに変革を起こすサポートいたします。私たちとともに、よりより未来を実現していきたい方は弊社HPよりお問い合わせください。

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